内部通報制度が改正され、内部通報者を保護するために、役員らに対し、懲戒処分その他適切な措置をとる」と明記した。しかし、改正法では従業員300超の企業が対象で従業員300人以下は対象外(努力義務)である。この300人以下が大きな法の抜け道である。
なぜ、ザル法で不備なのかは、適用範囲が、従業員300人以下は対象外(努力義務)であることだ。改正法では300人以下は努力義務で罰則も行政処分も免れることができるのである。要するに、300人以下を維持していれば改正法からすり抜けられるため、不正の温床になる。大企業の従業員が取引をちらつかせ、データ改ざん等を指示することも当然予見されるし、取引条件を良くするためにデータ等を意識的に改ざんすることも容易に推察できる。
大手企業でも、匿名で内部通報により不正が公にされているが、これは、氷山の一角で実態は、大なり小なり何らかのデータ等の改竄が行われているのが実態である。
とくに、300以下では現状維持の状態であり、消費者保護に何の役にも立たないことは自明の理である。100人以下を努力義務の対象にし、100人超を内部通報改正法の対象にしないと、不正は減らないしなくならない。300以下だと内部通報者への「報復」を防ぐことはできず、保護に実効性がなくなってしまう。
なぜなら、300人以下の企業が8割以上を占めているのが現状であり、300以下では中堅企業も対象外となり、内部通報者への「報復」を防ぐことはできず、保護に実効性がなくなってしまうことは明らかである。
結果的には、データ等が改竄された製商品を購入して使用するのは消費者であり、万一製品事故が発生しても、内部で隠蔽されて損をするのは消費者であるから300人以下の努力義務では抜け穴と不備につながり消費者保護にはならない。
なぜなら、私も企業法務や内部統制のマネジメントを30年以上に渡り従事していて、実体験や直接見聞していたからである。そして、内部通報制度やデータ等の改竄等は当時と現在で全く変化はない。つまり、以下の事が現在でも平気で行われており、経済団体の業界や労働省も手を出してこないのが実態です。それが以下の中身です。
「企業が内部通報者に報復して得するのは、最終的には企業です。なぜなら、労働審判では金銭解決で、内部通報者は退職か会社に残っても一生平の閑職か辞めさせるために全く違う職場に配転させて飼い殺しで、辞めさせるのが実態である。裁判で争うのはごくごく一部の気概のある従業員だけです。」
努力義務でも法規制のため表面上世間体のために運用していて、実効性は全くないのが実態である。しかも、民間企業だけでなく公益法人や財団・社団でも不正が行われている現状であるから、300以下を努力義務とするのは法の抜け穴になる。
一言でいうと、これらの改正内容も経団連等の経済団体への忖度や経団連等の経済団体からの圧力により、骨抜きにされてしまっているのが現状である。
読売新聞オンラインの記事を引用しますが、青文字のところが経団連等の経済団体や大手企業に忖度した内容である。そして注意するところは「指針(ガイドライン)」を消費者庁が作成中であることです。指針はあくまで指針であり法的効力は殆どないに等しいものです。
以下政府の内容を引用します。
政府は、企業の不正を内部通報した人を保護するための指針をまとめた。通報者に降格や減給などの処分を行った役員らを懲戒処分にするよう企業に求めることが柱だ。近く公表し、来年6月までに新制度を開始させる。
「なめるなよ、54のおっさんを!」とSNS交流サイトに書き込んでいた人事担当課長内部通報者の保護強化策を盛り込んだ改正公益通報者保護法が昨年6月に成立したことを受け、消費者庁が具体的な運用指針作りを行っていた。
改正法では、従業員300人超の企業に通報窓口や調査体制などの整備を義務づけている。今回まとめた指針では、企業は通報窓口を設置した上で、担当者を書面で明らかにする。
組織の幹部に関係する通報を受け付ける場合があることから、幹部からの独立性を確保した体制の整備も求めた。
内部通報者への「報復」を防ぎ、保護に実効性を持たせるため、指針には「(内部通報者への)不利益な取り扱いが行われた場合、役員らに対し、懲戒処分その他適切な措置をとる」と明記した。
政府は違反した企業に指導や勧告を行い、改善しない場合、企業名を公表する。窓口の担当者には情報の守秘義務が課され、違反すれば30万円以下の罰金を科す。300人以下の企業は努力義務とされている。←ここが抜け道