最近のペット裁判からの動物愛護について、2件の実際にあった裁判例を紹介します。
1つ目の裁判
子犬を他の人が公園で拾って飼育していたところ、飼い主が現れて子犬を返せと裁判を起こしました。子犬を拾った飼い主が子犬を飼っていた間の餌代を請求しました。子犬を拾った飼い主は、子犬を飼っている間の餌代を請求できるでしょうか。
【答:子犬を拾って飼っていた間の餌代は請求できない。】
【理由:拾った人は子犬に癒されるほどの利益をえていた。】そうです。
※癒されるほどの利益を得ていたことも動物愛護の一形態です。
【根拠条文:民法196条1項】
ペットは家族の一員として大切にしましょう。ペットはひとを癒してくれます。
2つ目の判例
お尻噛まれた柴犬が後遺症、噛んだ犬の飼い主に賠償命令
弁護士ドットコムニュース記事をそのまま引用します。
散歩していた飼い犬が、別の犬にお尻を噛まれて重傷を負ったとして、噛まれた犬の飼い主夫婦が、噛んだ犬の飼い主を相手取り、治療費・慰謝料など損害賠償を求めた訴訟で、東京地裁は5月14日、夫婦それぞれに約8万円(うち慰謝料5万円)の支払い命じる判決を言い渡した。 柴犬の楽ちゃんのお尻が噛まれた 原告夫婦の飼い犬は、柴犬の「楽」(がく)ちゃん(オス・10歳)。
判決などによると、原告妻は2018年3月28日夕方、楽ちゃんの散歩のために、近所にある公園(東京都杉並区)を訪れた。 その公園には、それぞれ飼い主がちがう2匹の犬がいた。楽ちゃんが、1匹の犬(訴外犬)に唸ったことに反応して、もう1匹の犬(被告犬)が、原告妻の背後に回り込んで、楽ちゃんの肛門付近に2、3回噛み付いた。 楽ちゃんは重傷を負って、動物病院で同日、肛門周囲の縫合手術を受けたほか、同年11月まで5回にわたって受診することになった。原告によると、楽ちゃんはいまだに排便困難に苦しんでいるほか、ビクビクしながら背後を振り返る頻度が増えたという。
東京地裁は「ノーリード」を認めなかった 。大きな争点になったのは、被告犬が「ノーリード」(リードをしていない状態)だったかどうか。 東京地裁は、被告犬はリードに繋がれており、被告もリードを手放していなかったとしつつも、「引っ張られて手を伸ばした状態になっており、被告犬を制御することができなかった」と判断。 そのうえで、「被告犬が原告犬に危害を及ぼすことないよう、被告犬の動静に注意し、原告犬と十分な距離をとるか、被告犬が原告犬に近づいた場合には、リードによって被告犬を適切に制御すべき義務があるのにこれを怠った」として、被告の責任を認めた。
「控訴しなくてもノーリードはダメだと訴えていきたい」 この日の判決後、原告側は東京・霞が関の司法記者クラブで会見を開いた。 原告妻は「私たちは一生、咬傷事件の傷を背負って生きていきます。わたしたちの犬が、聞いたことのない悲鳴をあげつづけたほど酷い咬傷事故だったこと、心身ともに後遺症が残ってしまったことを一生忘れることができません」と述べた。 判決については不服としながらも、「控訴したい気持ちはありますが、『被告がノーリードだった』という録画(証拠)がないと、控訴しても(その部分で)勝てないと思っていますので、きょうの段階で控訴する気はありません」と話した。 一方で、「犬のノーリードの事故で苦しむ人は、日本にはたくさんいる」「とにかく犬のノーリードをなくしたい。こういうことがまかり通っていけないと思って裁判を起こしたので、控訴はしなくても、ノーリードはダメだと訴えていきたい」と強調していた。
以上2つの裁判例を取り上げました。自分の犬だけでなく、他の人の犬やその他の動物に対する動物愛護の精神があれば2つ目の裁判は起きませんでした。
ペット(犬・猫)に関する裁判には発展しないが、トラブルは相当あります。飼い主の愛情と優しさとトラブル回避が必要です。これが現代の動物愛護です。当然、怒鳴ったり、叩いたりすることもだめです。
ペットと視線を合わせ、優しく叱って言い聞かせることと、愛情をもって接することが重要です。
私たちの動物愛護の基本精神は、段養い飼う物には(徒然草第121段)です。私たちも見習い、実践しましょう。さすが知の巨人です。
本日はこれで筆を置きます。